映像配信サーバーの構築 第1回(要望)

オープンソースを利用することで独自の映像配信環境が構築できるシステムを紹介したいと思います。

あまり技術的な話を記載していなかったので、新たに書いてみようと思います。

オフィスにデジタルサイネージで情報発信

知人からPCで映像配信チャンネルを作りたいとの相談がありました。
その企業様ではデジタルサイネージを利用して全国のオフィスに社員向けの情報発信を行っているのですが、その映像をPC上に配信したいと。

オフィスにはほとんど人がいない

コロナ環境で多くの社員は在宅勤務となり会社のデジタルサイネージでは情報共有が図れなくなってしまいました。また、在宅業務が多くなればなるほど会社の想いを社員へ届けることが難しくなります。
そこで、社長の言葉や社内情報発信の番組を作成して配信したいという要望となるのですが、情報は社外秘である必要がある為、ご相談を頂いた次第です。

一般的なクラウド環境を利用したWEB会議は映像の共有イメ―ジ

一般的にチャットやWEB会議を利用場合、クラウド上のサービスを利用しているかと思います。

Zoom、Meet(google)、Teams(Microsoft)での会議やウェビナー配信などもありますが、これらのシステムでは配信の遅延を無くすため、WebRTCというプロトコルが利用されています。WebRTCは遅延が少なくて非常に良いのですが、データ転送量が多いためにネットワークへの負荷はかなりなものになります。なので、利用人数が多くなるとサービスを利用するコストが大きくなります。また、各家庭から接続する分には通信負荷はあまり問題が無いのですが、オフィスから同時に多くの社員が利用する場合は、オフィスにあるルーターに負荷がかかりスムーズな画面共有ができないなどの問題に直面します。
画面解像度を上げるとクラウドサービスではデータの重量課金の問題もあり、長時間の配信には向いていません。

希望要件として

利用者はグループ社員(@500名)に限定したい。

⇒認証の仕組みもしくはオンプレサーバーを構築する必要があります。
認証の場合は社員数が多いとID管理が大変になるので、出来ればシングルサインオンを利用したいところです。

セキュリティを担保した上で社内・在宅の現場で利用したい。

⇒セキュリティ担保ということで社内オンプレ、クラウド環境にてHTTPSでの接続が考えられます。

費用を抑えたい(月額数万で)

⇒月額数万円という時点でAWSやAzureといったクラウドサービスの利用をできないので、社内にオンプレサーバーの構築もしくはレンタルサーバーの契約となります。
でも、社内向けというと配信に係る費用は販管費として計上されるので、固定費は低くしないと社内稟議は通過しないですよね。
動画配信サービスは色々とあるのですが、固定費が高いか重量課金される仕組みがほとんどです。
費用が掛けられる場合はAWS等の可用性が高い環境に構築されたサービスが望ましいかと思います。

現在利用している認証を使いたい

⇒認証ということでGoogle、LD.AP(MSAD)、Yahoo、FaceBook認証などいろいろながほとんどの企業ではソーシャル認証もしくは独自認証になるかと思います。

⇒現在の認証ということでソーシャル認証との連携が必要となりますね。

長時間のLIVE配信したい

⇒LIVE配信ということで、YouTubeなどの配信でよく使われているOBSが使えそうです。ここで注意する必要がるのが配信遅延問題となります。
社内講習会などの視聴者の同期が必要となる場合はWebRTCが必須です、YouTubeなどで利用されているRTMPを使った配信ではバッファにため込む時間が必要であり、視聴者間でのズレが発生(30秒ぐらいの場合もあります)します。
視聴者の厳密な同期が必要である場合はWebRTCが必須ですが、今回の要望ではコスト問題が大きく8時間配信となると1日のパケット料金だけで月予算を消費しかねない為、遅延は許容してコスパ重視でRTMPの利用しようと思います。

デジタルサイネージ放送も配信したい

⇒これはスイッチャーが存在するれば映像を取り込んで配信するだけかと判断します。

デスクトップに配信映像を埋め込みたい

⇒HLS(HTTP Live Streaming)プロトコルを利用することでHTMLページを作成してアクティブデスクトップに埋め込むことで実現できます。

全国に事務所に配信したい

⇒オンプレサーバーで構築した際、VPN回線や専用線での動画配信は現実的ではないのでレンタルサーバーもしくはクラウドの利用となります。